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10mへの道のり

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阪急宝塚線 豊中駅前に10月1日(月)オープン予定の「久保修切り絵ミュージアム」。その展示室中央部に10m一連の作品を展示するケースとしてご依頼を頂きました。

展示される作品の総延長が10mあり、それを「間仕切る事無く一体で展示できるケースを作って欲しい」というご要望でした。最初にお話を頂いた時には「え!?今10mと言われましたか?」と聞き直してしまいましたが、それと同時に胸が高鳴った事を覚えています。

今まで色々なケースを作って来ており、その時点ではどの様にしたら実現する事ができるか?明確な道筋が見えたわけではありませんが、「作ることができる」という自信だけはありました。空を飛んだり、時空を曲げたりする物で無ければ、基本的には作ることができると思っています。問題はそこに辿り着くまでどれだけの困難が待ち構えているか?という事です。

その点で言うと、今回待ち受けていた困難さは予想を遙かに上回っていたわけですが、、

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2mで一つのモジュールになっており、5台繋げる事で10mを実現していますが、それらをバラバラにしてエレベーターで搬入し、現地で組み立てる為の図面作成は本当に大変でした。最終的に単独のケースの図面としては異例の30ページに及び、基本設計から実施設計に要した期間は3ヶ月に至りました。レゴの部品並の点数になってしまった部材が全てかみ合うよう、マスターを3Dで設計し、それを2Dの製作図面に落とし込むという作業を延々と続けました。

単に部材の寸法を決めていくだけなら簡単なのですが、鉄工+木工+ガラスという部材が最終的にキチンと合わさる為には、その間で発生する誤差を考えながら、最終的にピッタリと合わさるよう、各所で微妙な調節が必要でした。例えばLED導光板は工場温度が20度で製作されており、設置場所の温度が30度を超えると90cm角で2mm〜4mmの伸縮が発生します。その為の余分を与えながらいかにしてピッタリと合わせるかなど、0.1mm単位で部材寸法を決める一方で、数mmの誤差を許容できるようにするという、相反する作業です。

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切り絵を光を通して浮き上がらせる為、10mの均質な発光面を持っている事。
内部空間に間仕切りが無い事。
メンテナンスが容易である事。
9人乗りのエレベーターを利用しての分解搬入が可能である事。
そして何よりも重要な事は「10mの作品をケース内に導入できる事」でした。

色々と方法を考えた結果、側面ガラスを取り外せる構造を採用しました。単純に10mと言っても、そのままの状態で運ばれる訳では無く、巻いた状態で運ばれてきます。その時にどの程度の直径なのか?重量はどの程度なのか?そのままズルズルと横から引っ張り入れて大丈夫なのか?頭の中に沢山の?マークがありましたが、一つずつ解決して行くしかありません。

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最終的に組み上がったケースと図面との誤差やレベル差は1mm以内に納まっています。正直なところ、施工には相当の困難を覚悟していましたが、少しの手直しはあったものの、ほぼスケジュール通りに進みました。施工スタッフが頑張ってくれた事はもちろんですが、作図の段階から何度も工場に脚を運んで話をし、ミスが発生しないように可能な限り分かり易い図面に仕上げるように心がけた事も大きな要因かと思っています。図面を描くのは基本的に好きなのですが、さすがに今回ばかりはしばらく図面から距離を置きたい気持ちになりました。

ゴールデンウィークもお盆休みも全て返上し、寝ている以外は全て働き、ほぼ会社に泊まり込み、時には会社の床に段ボールを敷いて寝るという日々を過ごしながらも、心からワクワクしながら作ったこのケース。先日ついに作家先生にお披露目されました。本当に感無量です。これから10月1日のオープンに向けて作品の展示や、備品の設置などが始まります。ケースの引き渡しは完了しましたが、オープンまでお手伝いする事はまだありますので、残された日々を最後まで頑張ります。皆さま!オープンの際には是非ともお越し下さいませ!!

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久保修切り絵ミュージアム
住所:大阪府豊中市岡上の町1丁目4番20号  ゆうみビル2階
阪急豊中駅  南改札口より徒歩7分
開館時間:11:00〜16:00(入館は15:30まで)
※2018年10月1日(月)オープン
HP:http://www.suminoisamu-zaidan.com/museum/index.html

久保修オフィシャルサイト
切り絵作家 久保修氏のオフィシャルサイトです。
http://www.shu-kubo.com